今回の地震では建物ばかりでなく、公共交通基盤も大きな打撃を受けました。上越新幹線は地震の衝撃により新幹線史上、初めて脱線しました。幸いけが人も無く大惨事は免れたものの、橋脚やトンネルの補強工事などで復旧は今月末までかかる見通しです。高速道路もたび重なる余震により、一旦通行止めが解除された区間が再び通行止めになることもあり、災害支援車両に続き、一般車両が全線開通したのは、初めの地震から13日後の11月5日でした。一般道路においても悪天候が重なって、地すべりや土砂崩れが発生、関係者の懸命の復旧作業にもかかわらず、山間部を中心に通行止めの区間が日々増加し、現時点においても多くの区間が通行止めとなっています。
  こうした状況のもとで、ボランティアはどのように被災地入りしたのかを聞きました。アンケート結果から、情報や、代替ルートの実態、重要性を探ることを目的としています。

調査方法・期間
聞き取り調査 調査日…10月30日、11月13日(回答数:合計120件)
インターネット 調査期間…10月24日〜11月13日(回答数:32件)
回答数 合計152件
聞き取り調査

インターネット調査


●出発地
最大震度や被害状況が繰り返し報道された地域には、全国から多くのボランティアが集まり、復興支援に協力しています。今回の調査対象は、ボランティアの3分の2近くが県外の方で、このうち関東地方と中部地方の方が7割近くを占めています。

96%が車で被災地入り
まず、ボランティアの足はほとんどが車で、団体の場合はバスを利用するケースも多く見られました。救援物資や自分たちの食事や着替えなどを運ぶ必要があることを考えれば、当然の結果といえるでしょう。その一方で、道路事情が悪いため車で行かないように指示され、電車を使ったボランティアもいました。

被災地まで5時間以上が半数
県内のボランティアは約7割が3時間以内でしたが、県外のボランティアは3時間以内は4%にすぎず、半分近くが6時間以上かけて被災地入りしていました。


●被災地への移動手段


アクセスを支えた高速道路
全体の7割弱(県内ボランティアで7割以上、県外ボランティアでも半数以上)が高速道路を利用して被災地を訪れていました。ボランティアの足として、高速道路が大きな役割を果たしていることがわかります。関越道と北陸道が地震直後から被災地近くで通行止めとなりましたが、ほとんどのボランティアは高速道路を迂回することなく、近づけるところまで高速道路を利用していました。なかには、首都圏のボランティアで関越道を避けて上信越道を利用した車両も見られましたが、高速道路の場合は迂回すると走行距離が大きく増加するため、時間の短縮がそれほど期待できず、高速道路料金がかさむことなどから迂回するケースは少ないようでした。

復旧後に高速道路利用率アップ
震源地の最寄りのI.Cを含む区間で関越自動車道が通行止めになったため、当初は高速道路を利用して被災地入りした人は多くありませんでしたが、一部復旧後・完全復旧後、と日を追うごとに利用者が増加しました。特に、遠方からのボランティアは11月5日以降に被災地入りした人が多く、復旧により被災地までの所要時間が短くなったことから、現地入りすることを決めたものと思われます。


●ボランティアの情報入手方法
多くのボランティアは、数ある被災地のなかから、アクセス可能な場所を探して訪れますが、実際は目的とした被災地に至る道路が通行止めであることから、行き先を変更したり、行ってみたが被害状況が予想したほどでない、ボランティアの活動の場がない、といった理由で別の場所に向かう人もいました。
情報源はさまざま
こうした被災地や道路の関する情報を集めるために、ボランティアはさまざまなメディアを利用しています。刻々と状況が変化する中で、現状のカーナビは、変化する状況に対応していないことから、あまり利用されないようです。また、高速道路などで目にする道路情報板は事前に得ていた情報を確認する程度で、積極的に情報収集したという認識が少ないことが考えられます。こうしたなかで、最も利用されているのがインターネットでした。
長岡国道事務所の道路情報携帯Webサイト
(※12月28日で終了しました)


●ボランティアからの意見


対応困難な交通渋滞
道路の通行止めや迂回などで時間がかかったことや、渋滞したことに対する指摘もありました。中には、道路で給水活動をしていたために渋滞が生じたというケースもあり、現場での工夫により多少の改善の余地は残されているかもしれません。
私たちが通った国道17号では、「この先、復旧工事のため片側交互通行」や「道路情報携帯サイト」といった看板があり、ストレスもなく移動できたと思います。
阪神大震災のケースと比較して、被災直後の道路情報の提供や交通管理の状況、破損等により通行困難な道路を慎重に通行する地元ドライバーの忍耐強さを評価する意見、予想以上に順調に通行できたといった感想もありました。
ボランティアの多くは被災地の状況をある程度想定し、実際に現地を訪れてもその混乱を冷静に受け止めていたようです。

対応困難な交通渋滞
高速道路については道路情報や通行止めについての苦情はなく、インターネットやテレビなどで事前に正確な情報が得られることを評価する意見が多く寄せられました。しかしながら、高速料金の無料化を求める意見、料金の高さを指摘する意見も多数ありました。


自己責任が基本のボランティア
 阪神大震災以来、ボランティア活動が着々と根付きつつあり、今回の被災地でもボランティアの力は不可欠です。これまで全国の災害被災地で指摘されてきた受入側の態勢と、仕事を与えられるのを待つだけというボランティア側の姿勢に関わる問題がまだまだ残っているようです。ボランティアに対する意識によって地元に対する要求も異なりますが、こうしたなかで、「ボランティアは自己責任が原則で地元に依存すべきではない、仕事は自分で見つけるもの」、という意見は、ボランティアの基本的姿勢を示唆するものと思えます。降雪時期に入り、朝晩のテント泊は、今後、難しく、車のタイヤはスタッドレスを使うなど、変化する被災地対応が必要です。
 新潟県NPOサポートセンターでは、仮設住宅ができるまでを第一段階、雪が解ける4月頃までを第2段階、年間計画を必要とするまでを第3段階と考えて、非日常から日常へ、有事から平時へと支援活動のあり方を変化させています。
 豪雪地帯である中越地域は、今後、雪かき、雪下ろし作業などがあります。未経験者では難しい作業のため、経験者を中心に活動隊を編成していく予定です。詳しくは、新潟県災害救援ボランティア本部へお問い合わせください。http://www.nponiigata.jp/jishin/

<がんばってます!にいがた>
新潟県では、観光をはじめとする産業面での風評被害防止のため「がんばってます!にいがた」のHPを開設しました。実際の被害は新潟県の特定の地域に集中しており、その他の県全体での産業活動は通常通り活発に行われています。
http://www.pref.niigata.jp/genki/(現在閲覧できません)
あきないの礎となる人間力。モノづくりを支える技術力。人と人との絆に結ばれた地域力。
さまざまな力が一丸となって新潟はがんばっています!



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